お知らせ

児童精神科医 黒川駿哉様よりカームダウンボックスのご利用報告をいただきました

2024年5月に福岡県福岡市のはつき診療クリニックに提供いたしましたカームダウンボックスにつきまして、ご担当者様の黒川駿哉様(X:@shunya5)よりご利用レポートをいただきましたので一部ご報告させていただきます。

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2024年4月よりNPO法人Chou・chouが月に1度開催している「フリースペースはじまりの基地」の活動場所であるはつき診療クリニックに設置させていただいておりました。

子供たちが「社会的な場に出られること」「誰かと一緒にいること」に少しずつ慣れていけるようにサポートをしていく中で、「逃げ場」があるという安心感を持ってもらいたいという思いで、今回カームダウンボックスを導入したそうです。以下、黒川様よりいただいたレポートです。

活動をする「カツドウ部屋」と静かに過ごせる「ゴキゲン部屋」がありますが、この「ゴキゲン部屋」にカームダウンボックスを設置しました。このボックスがあることで「自分の好きなときに好きな場所でいいんだよ」というメッセージになればと期待していました。

初めて来た子がすぐに利用できるよう、扉や窓の位置には気を配り、ボックス内にキャンドルライトを置いたり、入り口がほかの子から見えないような角度にしたり、音が入りにくいような方向で設置したり、なるべく安心できる空間となるよう工夫をしました。実際に利用する子は、箱の中でイヤホンを使って音楽を聴いたり、Yogiboのソファに埋もれて静かに休んだり、スタッフが声をかければ少しだけ会話に応じてくれたりと、それぞれ自由に過ごしていました。

最初はボックスからなかなか出てこられなかった子が、慣れてくると少しずつ外に顔を出すようになったのが特に印象的でした。長時間利用する子もいましたが、それでも「ここにいていいんだ」と思える場所があるおかげで、心の準備が少しずつできていったように感じます。

最終的にはスタッフや他の子とゲームをしたり、一緒におやつを食べながら雑談をしたりする姿、イヤーマフを装着する時間が徐々に短くなる様子も見られ、安心できる拠点があることで行動範囲が広がるという効果を実感しました。

今回のカームダウンボックスの導入は、子どもたちの「安心して過ごせる場所がある」という気持ちを引き出す、大きなきっかけになったと感じています。小さな箱の中で過ごす静かな時間が、外の世界へ一歩踏み出す勇気につながる瞬間を目の当たりにすることができました。これからも、安心と安全を第一に、子どもたちのペースに寄り添いながら、彼らの新しい世界づくりをサポートしていきたいと思います。

ボックスをただ設置するのではなく、設置する位置に気を遣ったり、より快適に過ごすための道具を使ったりと、カームダウンボックスの魅力を最大限に引き出した上で使用していただきました。

カームダウンボックスで過ごすことが、ボックス外で過ごすことへの後押しになっているということについては、理念として掲げている「音環境の調整を介して誰もが豊かな生活を送れる社会を創る」世界の実現に向けて、弊協会としても一歩を踏み出せているのではないかと嬉しくなりました。

今後もカームダウンボックスの提供を通じて、音環境のユニバーサルデザインの実現に向け、地道に活動を推進して参ります。

一般社団法人国際調音・整音協会(ISAAA)は、活動を支援して下さる賛助会員様を募集しております。皆様の志をお待ち申し上げます。

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